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2011年9月11日 (日)

空の境界 終章 と全体の感想 (9/10)

 さて、シリーズのエピローグ、終章へ辿り着きました。

 この作品では、幹也と式が街が見渡せる雪の坂道で出会うという、以前あったシチュエーションで会話をする、という場面に終始しています。
 ここでの式は、これまで登場していた二人の式(織)とは異なる式で、最初の二人が魂としての存在ならば、今回登場している式は肉体そのものの式、という位置づけになっています。
 このシリーズのテーマ性というか、言いたかったことの片鱗をこの式が語っているように思いますけど、これまでの殺伐としたシーンを払拭するかのような静かで美しい情景と、式と幹也の語りが染み入るように伝わって来ます。

 長回しのワンシーンのようで、見方によっては退屈に感じるかもしれませんけど、結構核心に近い部分を語っているんじゃないかと思います。
 ただ、それを肯定的に捉えるかどうかは、観た人それぞれの受け取り方であるのは言うまでもありません。

 わたし的には、

 ああ、これって熱いラブストーリーだよねぇ

 というのが感想です(笑)
 そんなの解り切ったことだろう!、って怒られそうですけど、猟奇サスペンスのような描写があちこちにあり、グロい演出と戦いながら(実はあまり得意じゃない…)観て来た身としては、やっと落ち着けた、という感じのエピローグでした。

 殺人考察(後)のラストで魅せた幹也の式への思いと式の返答が、違う形でまた裏打ちされているようで、異なった人格の自分(式)が幹也との間を確たるものにするために背中を押したようにも思えました。
 何にしても雪空の音の無い世界で、仄かな温もりを放つ二人でありました。

 30分程の短い作品で、必ずしも必要とも感じられない向きもあるかもしれませんけど、これまでのストーリーを振り返り、整理するためには重要な章だと思います。

 さて、全体を観た感想ですけど、
 観る前に想像していたのとは、かなり違った印象でした。
 全く予備知識がありませんでしたので、予想ではもっとサスペンス色が強く、二人の恋模様も悲劇的なものだと思い込んでいたんですけど、後者は全くのハズレでしたね

 時系列をバラして、前後するエピソードを展開する、という方法は幾つかの作品で観たことがありますけど、この作品に関しては余り複雑では無かったので混乱もせず繋いで観ることが出来ましたけれど、果たしてそうしなければならなかったのかな?という疑問も無い訳ではありません。
 ただストレートに順番通り繋いだとしたら、かなり単純になり面白みに欠けるのかもしれません。
 そう、全体を通してのストーリーの流れそのものは結構シンプルで、そんなに深く潜ったものでも無いように感じます。
 その辺り構成と演出でいかに見せるか?というのが製作側の腕な訳で、その辺りが上手く出来ていればシンプルや深み奥行が足りない、というのが必ずしも悪い訳じゃありません。
 むしろ無暗に複雑にしたり、意味不明なまでに深いところへ行ってしまってマニアにしか受けない作品になってしまっているモノもあったりするので、そういうハマってしまった作品に比べれば遥かに楽しめます。

 ストーリーの芯を抜き出すと、このシリーズは幹也と式のラブストーリー以外の何物でも無く、気色悪いグロシーンを耐えつつ、二人の愛の行方を見守るという、かなり厳しい構成になっていますけど、観終わった後に残る奇妙な暖か味は何なんでしょう?
 興味に始まり、最後には自分の命を懸けてまで式への思いを貫き通す幹也のあまり表に現れない強さと熱さ、最初は殺したいまでに幹也を拒絶していた式が次第に彼に惹かれ始め、やはり最後には幹也の為に初めての殺人(この作品本来の意味での)を犯すまで思いを募らせる彼女のなんというツンデレ!

 冷静に見れば突っ込みどころ満載で、色々説明不足で、消化し切れていないような設定や、リアリティの欠落した部分もありますけど、そんなことはまあいいか(ぉぃ)、というくらいラブラブな二人が心地よい、正しい?ツンデレ・ラブストーリーだと思います。

 なんか中の人が、そのまま結婚してしまったのが判るような気もする(笑)
 役に入り込んでしまったら、これはもう別れられないでしょう!

 それにしても、長い作品の割に登場人物が少なく、重要な役どころ以外のキャラがこれまた極端に少なく、それでいて最もストーリーの構成でキーになる筈?の宗蓮の扱いが、「どうなんだろうこれ?」と拍子抜けするほど軽い(私の印象ですが)のはどうしたことでしょう。
 宗蓮の放った3人はそれぞれ役どころを全うしていましたけど、霧絵ちゃんは尺の短さと最序盤での登場だったこともあり、ちょっと印象が薄いです。
 幹也の妹ちゃんも、もっと登場機会があると良かったかも、と男性視聴者は思っているでしょう?、いや思ってるはずだ!(笑)

 気になる点は、元のストーリーがそうだから仕方ないとはいえ、余りにも安易に人が死に過ぎ、しかも描写がグロいということ、そして人を殺す、という行為に対する倫理観が何かズレているように思います。
 子供が観る作品じゃないので(多分)、それで教育的にどうこうとか言うのもナンセンスですけど、所々人を殺すことを肯定的に捉えているような部分があるのはどうなんでしょう?
 作中では警察が捜査してはいるものの、結局捕まりそうだとか、捜査の手がそこまで来てる、なんて描写は出て来ず、幹也の親戚の刑事が事件を追いかけているけど、なんか「捕まえる」ということには煮え切らない感じで終始していたのが不思議でした。

 作中の「人を殺したら自分もそこで殺すことになる」というのは印象的なセリフですけど、二人目からは人では無く、殺人鬼がやっていることだからと、諦観的になってしまうのがちょっと怖いです(苦笑)
 式の人を殺す理屈もある意味無茶苦茶で、それを受け入れて式に寄り添ってしまう幹也もかなり摩訶不思議な精神を持っていると思うです。
 とにかく二人とも普通の神経じゃないのは確実!
 幹也に至っては、パッと見とても常識的で頭脳明晰なイメージなキャラだけに余計性質が悪いです…

 という訳で、ラブストーリーの部分と、その周辺部のギャップが激しく、それが観た後のイメージを仄温かくもうすら寒い、という微妙な後味を感じる要因となっています。
 今これを書いている時点では未だ評価帳に書き込んではいませんけど、少し悩みそうです。

 画的には全体的に綺麗で、特に背景の描き込み具合が緻密かつリアルで、全く私好みで困ってしまいますけど、キャラのバラつきはあるかもです。
 あとで調べてみたら、各章で監督や作画監督も異なり、その辺りで差異が出ている面もあるようです。

 使われている音楽は良質で、各章ごとに異なるテーマ曲が使われ、それぞれエピソードに関連した歌詞になっていて、Kalafinaの歌唱と相まって印象深いものになっています。

 期待した以上の部分と、期待と異なった部分のバランスでナントモ微妙な評価になりそうですけど、基本的には面白い作品だったです。

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